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2012年11月22日 (木)

北欧の図書館から学ぼう(図書館総合展)参加メモ

図書館総合展のフォーラム「北欧の図書館から学ぼう-なぜ北欧の公共図書館には行列ができるのか」に参加した。

○日時:2012年11月20日(火)
○会場:パシフィコ横浜・第6会場(アネックスホール206)
○講師:吉田右子(筑波大学大学院図書館情報メディア研究科教授)

○内容(当日のメモをもとに)

司会:平塚市中央図書館の小泉さん
主催者挨拶:和田さん(図書館協会研修委員長)

【講演内容】

●北欧の国々の特徴、図書館事情について

北欧は個性的な国が揃っている。デンマーク、スウェーデン、ノルウェー、フィンランドを研究対象としている。

夏と冬で暮らし方違う。夏は、ほとんど外で過ごす。5週間有給休暇をとり、サマーハウスで過ごす。寒いのはそれほどではない。コペンハーゲンの冬の気温は0度。寒さはそれほどではないが、暗いのがきつい。冬は、10時になると明るくなり、3時には真っ暗となる。

暗い毎日には、(元気をつけるための)行事が必要。北欧は、年が明けるまでクリスマスで盛り上がる。

北欧の人々にとっては、何よりも自然が大事。ブルーベリーをつんでジャムにする。きのこを採ってシチューにする。自然を楽しむことが、人生にとって一番大事である。

北欧の国々は、福祉に力を入れている。ノーマライゼーション、バリアフリーが徹底している。施設ごとに計画を立てるのではなく、社会全体でバリアフリー化を進めている。

北欧3カ国は、言語が似ているので、自分の言葉をしゃべっていれば通じるという感じ。日本でいうと、津軽弁と鹿児島弁で会話しているイメージ。互いの言語は違うが、なんとなくわかる。なお、フィンランドだけは言語体系が違うので、フィンランド人が入ると共通言語は英語になる。

吉田は)デンマーク語を習得するために教室に通ったが、ものにならず、英語で日常生活をすることになった。彼らの英語は、フラットな英語で、日本人には聴きやすい。

デンマークの人口は神奈川県民とほぼ同じ規模なので、デンマーク人は、外国人がデンマーク語をしゃべってくれるという期待がない。

彼女たちは、幼い頃、テレビ・アニメを見て育つ。デンマークでは、テレビ番組を制作しないので、外国から番組を買って放映する。その際、現地語(デンマーク語)の字幕つける。

こういう状況なので、誰でも普通に英語を話す。英語も、とてもシンプルなもの。例えば、主語が三人称単数でも「s」をつけない。

●スウェーデンの図書館事情について

さて、自分の目で北欧の図書館を確かめてみたいと思い、約80館回ってきた。スウェーデンの図書館が中心。

北欧の図書館は、原則、おしゃべりが自由にできる。携帯電話でのおしゃべりもOKだ。人々の音量は、カフェくらい。決して静かではない。逆に、静かにしたい人は、別の場所に隔離される。ここの中は、修道院なみ。

館内での飲食は、原則OK。セフル・サービスのコーヒーまで置いてある。こぼした場合は、利用者が弁償するシステム。

北欧の人々の人生の楽しみは、1に、自然を歩くこと。2に、図書館のカフェでおしゃべりすること。

スウェーデンの図書館のコーヒー料金は、まちなかのカフェに比べ半額くらい。トイレもある。

一般に、図書館の開館時間は短め。平日、10時から17時が標準。開館時間は、年々短くなりつつある。

北欧の人々は、夜は家族と過ごすことを大切にしている。しかし、離婚率は高い。現時点での家族との団欒を大切にしている。

北欧の国々は、「これいい」と思ったら瞬間にやって、ダメだと思ったらすぐに撤退する。日本ではこれができない。

図書館サービスの受益者負担の考え方は、基本サービスは無料。わがまま(付帯サービス)すると、料金がかかる。例えば、本の返却が遅れると、延滞料をとられる。延滞料を、日本では、「罰金」という。北欧の図書館では、「延滞=悪いこと」ではなく、「1週間多く借りたわ」という感じ。本を返す方も受け取る方も、ニコニコしている。

スウェーデンの図書館司書は、本の返却、配架、貸出には一切関わらない。では何をしているのか。彼・彼女らの仕事は、主にレファレンス。

利用者は、番号札をとって、自分の順番を待つ。呼ばれたら、司書に質問をする。質問の内容は、トイレどこですという簡単なものから深刻な内容まで、様々。

司書は1時間に20人の利用者に対応するので、疲れる。こうした事情から、スタッフ・ルームは、窓のある場所など、恵まれた環境にある。自分(司書)のコンディションが充実していないと、よいサービスはできないという考え方が貫かれている。

図書館では、沢山のプログラムを用意しており、60ページのカラー版のパンフレットを発行している。プログラムとは別に、講座がある。例えば、パソコン講座、スマホ活用講座など。

さらに、図書館内に、「デモクラシーコーナー」がある。時間を決めて、図書館に議員がやってくる。議員に話したいことがある住民が自分の主張を述べ、議員は聞き役。なお、このコーナーをNPOが使うこともある。

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北欧では、「図書館が文化の拠点」になっているのだ。図書館で、地元アーティストの作品に出会える。例えば、アーティストが「反戦のインスタレーション」をやることもある。

図書館内の空間デザインは、大変凝っている。とても居心地がいい。黄色い書架や赤い床をよく見かける。

○スウェーデンのストックホルム市立図書館
図書館のオーラを感じる。裏がバックヤードになっている。

駅直結の図書館が流行している。図書館が閉館していても、ネット端末使える。

椅子がいい。書架にキャスターがついている(地震があまりないため)。書架が動くので、空いたスペースで、ヒップ・ホップなどのダンス教室が可能。

スウェーデンでは、麻薬常習者対策の一環として、図書館内のトイレは有料(一回約60円)。

○小さい図書館
スウェーデンとノルウェーでは、分館が減って、学校図書館と併設になりつつある。地域住民も、学校図書館をつかっている。そこには、公共図書館と学校図書館の仕事の両方が出来る人が勤めている。

高校生になると忙しいので、通学バスを使って図書を届ける読書振興策をとっているところもある。

また、ネットを活用してオンラン読書会をする図書館もある。これには、文化省がお金を出している。

○ボランティアが運営する図書館
福祉・教育職は専門職としての公務員。普通の図書館では、ボランティアはいない。例外はある。

この図書館は、閉鎖が決まった時に、住民が「反対」を表明し、自分たちで運営しはじめた。住民の一人が、偶然司書だったのが幸いした。週に1度だけ、土曜日に館を開けている。もう10年間運営している。地元自治体からの補助金はあるが、それでは足りないので、クッキーをつくって利用者に売り、その収益を運転資金に充てている。

スウェーデンの図書館で、何故こんなにプログラムが多いかというと、公民館がないからだと思う。図書館が、公民館がやるようなプログラムを開催している。

・作家と図書館の距離が近い。講師料は、高くても3万円くらい。読者と直に話ができることは、作家にとってもメリットになる。

・コンピュータは、図書館で習う。シニアITネットワークという団体が運営する。シニアがシニアに教える形態。

・「おしゃべりカフェ」というプログラムがある。移民が多いので、言語を勉強する機会を提供している。カフェは、飲食OK

北欧では、図書館のある生活があまりにも市民に浸透しているので、市民にアンケートをとると、「図書館は今のままでいい」という人が多い。

●年代別の図書館という発想
読書離れを食い止めるため、年齢別の図書館ができている。

・幼児期用
・学齢期用(10歳から13歳)
ンピュータ遊び、クッキーやく、コスプレやる。
・ティーン・エイジャー用
移民・難民の青少年の利用が多い。男の子図書館クラブ(学童保育に行くお金を払えないので、図書館に来る)

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★移民の男子たちが利用者を威圧するような振る舞いをするのを見たベテラン司書が、こうした子どもたちに、図書館内での役割を与えている。例えば、配架の手伝い。自分たちのオススメ本のエッセイを書く、など。役割が与えられた子どもたちは、図書館のサポーターになっている。また、子どもたちが司書を街に連れ出し、色々な町の様子を教えてくれるようになった。

→これって、米国ブルックリン子ども博物館のキッズ・クルーと同じ発想だよねー。

男の子図書館クラブは、人気が出た結果、今は入会待ち状態であるという。

スウェーデンでは、作家への補償金制度がある。1回貸出につき、12円が作家に支払われる。

○体系的な図書館の利用者教育
・まずは、保護者がベビーカーに子どもを乗せて図書館に行く
・保育園は、定期的に図書館に行くので、子どもたちは自然に図書館の存在を知る
・学校図書館はそれほど楽しい場ではないが、学校司書が公共図書館利用を勧める

公共機関の哲学(ユニバーサルデザイン)

・情報アクセスが困難な人へのサービスの充実
・「りんごの棚」「リンゴセット」
・ブックモービル、宅配制度
 「本が来る」という表現、利用者中心
・移民児童への宿題支援を国家的プロジェクトとして実施
・ノーベル賞作家が、定期的に図書館にやってくる仕組みがある。

●まとめ、北欧の図書館とは

・文化と情報へのアクセスを保障する機関
・ポストカード。あえて挑発的な言葉・色を使う。注意を惹きつける。
「図書館は、あなたの必要なことすべてに対応する」と、大風呂敷を広げる。
・社会理念と図書館の運営哲学が結びついている
 
→平等、共有、セルフ・ヘルプ
・人が困っていると、すぐに助ける。とにかく、助けるスピードが速い。助け合うという姿勢が身についている。頭で理解しているのではなく、体で理解している。

■感想
北欧諸国では、平等、共有、セルフ・ヘルプという理念が、社会の隅々まで浸透しているという話を聞き、日本とは随分違うなーと感じた。もうひとつ感心したのは、トライ・アンド・エラーの精神。とにかくいいと思ったらまずやってみる。失敗したら、またやり直せばいいじゃんという姿勢、いいですね。

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