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2013年2月28日 (木)

地域内分権組織って何だ?

地域内分権組織に関する情報収集から
 2013年2月26日、横須賀市役所(都市政策研究所、市民生活課)で、地域内分権組織についてヒアリングをしてきた。やっぱり、現場の人の話は参考になる。この日は、都市政策研究所の研究員とともに、実際に「地域運営協議会」を担当している市民生活課のスタッフの方にもお話を伺った。
 今、地域内分権組織は、住民自治の仕組みとして注目されている。神奈川県内では、相模原市、横須賀市、逗子市、平塚市で導入(モデル事業)が進んでいる。藤沢市については、市長の交代により見直しが検討されているようだ。

【定義】-『よこすか白書2011』p.3より引用
地域内分権組織とは、基礎自治体内を合併前の旧市町村、中学校区、小学校区、支所、連合町内会などのいくつかの区域に分け、各区域に地域住民を構成員とした組織を設置して、住民自治を推進する仕組みである。また、組織の形態を分けると大きく4つに分類することができる。
 1つ目は、自治体が条例や要綱に基づき独自に分権組織を設置する場合である。設置区域は支所、連合町内会、中学校区、小学校区など市町村によって異なる。これを便宜上、独自型と呼ぶ。本市の取り組みはここに位置付けられる。
 2つ目は、地方自治法(地方自治法202条)に基づき市町村が定める区域に地域自治区を設置する場合で、地域自治区には地域協議会が置かれる。これを便宜上、一般地域自治区型と呼ぶ。
 3つ目は、合併特例法(合併特例法23条)に基づき旧市町村を単位とする区域に地域自治区を設置する場合で、地域自治区には地域協議会が置かれる。これを便宜上、合併地域自治区型と呼ぶ。
 4つ目は、合併特例法(合併特例法26条)に基づき旧市町村を単位とする区域に合併特例区を設置する場合で、合併特例区には合併特例区協議会が置かれる。これを便宜上、合併特例区型と呼ぶ。

「先行市から学ぶ地域内分権組織の現状と課題」の詳細については、『よこすか白書2011』にまとめられているので、この分野に関心のある方は、ぜひダウンロードしてみてください。http://www.city.yokosuka.kanagawa.jp/0110/upi/jouhou/documents/hakusyo_2011.pdf

ヒアリングの中で感じたことを少々メモしてみると…

【研究員から】
・現市長のマニュフェストの中に「地域運営会議の設置」という項目があり、施策づくりの参考とするために、「地域内分権組織」に関する調査研究をすることになった。
・調査研究の情報収集にあたっては、日本都市センターや自治総合センターの報告書等を参考にした。
・横須賀市の調査では、「民主的正当性、予算、事業」の3つの視点から分析をした。
・同じ「地域内分権組織」という名称を使っていても、その内実は相当バラエティがある。
・習志野市では、行政の担当者が地域内分権組織の事務局を務めている。
・地域内住民間の合意形成にあたり、コアメンバーと総会という2層構造になっている自治体がある。
・誰がステークホルダーなのかという点については、市町村によってバラつきがある。

【感想】
・住民ごとに持っている情報や課題意識が異なるので、住民間で議論の前提となる共通の土俵をつくるために、都市マスタープランづくりの前段階の地域別プランを参加型でつくるなどの仕組みが必要。都市マス以外にも、地域福祉計画づくりなどが有効かも。
・地域内分権組織の事務局を誰が担うのかというのも重要なポイント。コーディネーターの力量によって、地域力に差が出てくる。横須賀市の場合は、行政センターの職員(館長も含む)が、事務局を担う仕組み。
・平塚市の「地域自治推進モデル事業」も、「地域内分権組織」に分類できると思うが、平塚市の場合は、公民館が事業協力する重要なプレイヤーとして制度設計されている。現市長が、かつて公民館主事をされていたという経験が、事業モデル構築にあたり影響を与えた可能性があると思われる。ただし、公民館がまちづくりに貢献する度合いは、市町村ごとに温度差があり、平塚市モデルが、他の自治体に応用できるとは限らない。むしろ、公民館職員の専門性が希薄化し、コミセンへの移行が進む現状では、平塚市のモデルはレアケースと考える方がよいのではないか。市町村ごとに社会資源が違うのだから、どのような仕組みをつくるかは地域ごとに考えていくしかない。近道はないのだ。

【市民生活課から】
・横須賀市の場合、「地域運営協議会」は、原則として行政センターを一つの単位としている。中学校区よりもさらに広い範囲が対象となる。
・横須賀市では、2013年1月末現在、6地区の「地域運営協議会」が立ち上がっている。
・地区ごとに、協議会の構成団体や事業内容は異なる。
・浦賀地区の場合は、高齢者の見守り隊の活動や古井戸の再生によるコミュニティ再生などに取り組んでいる。なお、古井戸の再生によるコミュニティ再生は、防災まちづくりとも密接に関係している。
・追浜地区は、ボラセンいきいきサロンと追浜マラソンなどの事業に取り組んでいる。
・他の地区は、昨年から今年にかけて立ち上がったばかりで、具体的な事業はこれから。
・本庁地区(市役所のある中心部)は、あらゆる政策分野において、市役所が直営で地域と関係をもってきた関係で、分野を横断するネットワークがなく、それを構築していくのが今後の課題。「地域運営協議会」の設置は最後になるかもしれない。
・現在立ち上がっている「地域運営協議会」の中にはPTAが入っていない。今後の課題である。
・今後、NPO的な組織がどのような形で「地域運営協議会」に関与できるのかを探ることが課題である。

【感想】
・地縁組織と志縁組織(NPO的なもの)が、どのように地域内分権組織に関わるかが今後の課題。
・議会と「地域運営協議会」の棲み分け・連携については、充分な検討が必要。
・一番の課題は、地縁組織が個々に思い描く地域課題を、それぞれが主張しあう場になってしまうとこと。地域には様々な課題があり、まずはそれらを可視化し、異なる組織間で地域課題を共有することが必要だし、同時に、社会資源の可視化(宝探し)も重要だと思う。課題と資源の双方がステークホルダー全体に「見える化」され、それを共通の土俵として、対話をする場づくりが求められると思う。

●今後の展望(もどき)

・地域の社会資源と地域課題双方の可視化の仕組みづくり(地元学などの手法の導入)
・対話の場づくりのコーディネイトの仕組み(声の大きい人が支配するのではないように)
・声を上げられない人(社会的弱者)のニーズを反映する参加のデザイン(外国人住民、ひきこもり等)
・市民性を育む仕掛け(シティズンシップ教育、地域計画プラン作成への市民の参画)
・場をコーディネイトする人材の育成・配置(コミュニティ・ファシリテーター、コミュニティ・ソーシャルワーカー)
・コミュニティ・シンクタンクの設置・運営
・シヴィル・ミニマムの策定(公共サービスの水準策定)と地域内分権組織の守備範囲の線引きに関する対話の必要性
・志縁組織(NPO、コミュニティ・ビジネス)と地縁組織の対話・連携のデザイン
・既存の公的機関(社会福祉協議会や社会教育施設・文化施設)の機能の再検討(歴史民俗博物館や市政図書館的な場を人々の対話を創発する社会装置として再生していくようなビジョンが必要))→コモンズ(地域情報・地域資源)を集積する機能をもっているのが、ミュージアムなどであるから)

●最後に

「地域運営協議会」のあり方を考えるうえで、ぜひ検討して欲しいのは、自治体とNPO等との協働事業をめぐる現状がどうなっているかの分析・検証である。マルチステイクホルダーによる自治の仕組みづくりの前に、二者(自治体とNPO)の協働が、理想的に運用できていたのか否かをつぶさに見る必要があるのではないかと思う。英国のLSPも、年代ごとに仕組みを変化させている様子が下記の報告書でわかるが、キモは、地域のパートナーシップ組織のコーディネーションの巧拙にかかっているように思える。二者のパートナシップを有効に機能させる知恵を共有していない段階で、マルチステークホルダーによる合意形成の仕組みづくりに着手することはリスクもあるのではないか(人は実践の中で学ぶので、不作為が正しいという意味ではないのですが…)。
http://www.eng.kagawa-u.ac.jp/~doi/lab/work-PDF/(5)/5-2.pdf

机上で最善のプランを練るという発想ではなく、アクション・リサーチのように、創りながら壊し、また創るという、組織自体が自己変容する仕掛けが必要ではないかと思う。それには、制度設計の精密さよりも、場をつくる「人」の思いとデザイン力がより重要な気がする。

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