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2013年3月17日 (日)

CEMLAセミナーに参加して~教育と福祉の眼差しの違いを超えて~

3月16日、相模女子大学で開催された第6回CEMLA(★)セミナーの分科会Bに参加しました。分科会Bは、外国人児童生徒の課題をめぐって、福祉現場(児童相談所と学校ソーシャルワーク)から二つの報告がありました。

CEMLAとは
Center for Multicultural Learning & Activitiesの頭文字で、「多文化学習活動センター」の意味。相模原青陵高校と大学やNPO等が協働して運営している「多文化共生の学習支援拠点」です。


話題提供者のうち、相模原市児童相談所小林課長さんの次の話が印象的でした。
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・「連携」とか「つながる」とよく言うのですが、実際は、難しいですね。
・学校の先生が持つ文化に「違い」を感じることがある。福祉分野の人は、「わからないから、やる」のに対し、学校の先生は、「わからないから、やらない」という文化。福祉の専門家は、「わからないから、もっと知りたい」と考えるが、「わからないものには、手を出さない」方が、一般的な感覚。
・教育と福祉は、異文化。お互いに、立場が違うことを理解したところで、やりとりすることが大事。

Photo_3

(左から安永さん、田中さん、高橋さん)
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●ブログ運営者の感想
児童相談所と学校ソーシャルワーカーのお二人の話を伺い、改めて、教育的な眼差し(教師的思考)と福祉的な眼差し(ソーシャルワーカー的思考)の違いと、相互の文化理解の必要性。そして、違いを理解したうえでの連携の重要性を認識しました。実は、この構図は、博学連携(博物館と学校教育の連携)と似ています。博物館と学校教育は、違いがあるからこそ連携する意味があるのですが、博物館固有の学びや価値について、学校の教師が知る機会は限られています。相互の文化を翻訳するコーディネイトが必要なのです。ちょっと脱線してしまいました(^_^;)。

以下は、セミナーの概要、続いて当日の速記録です。
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ME-net(多文化共生教育ネットワークかながわ)と神奈川県立相模原青陵高校が共同運営するCEMLA(多文化学習活動センター)が第6回CEMLAセミナーを共催しました。

●日時 2013年3月16日(土) 10:00~12:30
●場所 相模女子大学マーガレット本館2階(相模大野駅より徒歩10分)
●主催 CEMLA(多文化学習活動センター)
●内容 全体会の後、3つの分科会に分かれて、ゲストスピーカーの報告・質疑
○分科会A
日本語指導を生かした教科指導とは?~JSL生徒カリキュラムの基礎知識~ゲストスピーカー:相模向陽館高校黒田先生、横浜翠嵐高校定時制の先生(予定)高校での教科指導の取り組みの中で、日本語指導を生かした指導について実践報告をしていただきます。
○分科会B
生徒のケースワークの実践とは?~ソーシャルワーカーの実践報告から~ゲストスピーカー:相模原児童相談所小林さん、相模原市スクールソーシャルワーカー安永さん専門機関との連携を視野に、どのような支援が必要なのか、課題はなにかを協議します。

○分科会C
外国につながる生徒の取り巻く状況は?~中学校の国際教室の取り組みから~ゲストスピーカー:海老名市立柏ヶ谷中尾口先生、他1名予定国際教室での取り組みと課題について協議、情報交換します。
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以下は、分科会Bの記録(速記なので、聞き間違い可能性あり)
●高橋清樹(県立相模原青陵高等学校教諭、CEMLA担当)
・今日は、お二人の方から話題提供をしていただくが、参加者からも積極的にご意見をいただきたい。まずは、小林さんから話題提供お願いします。
●小林優志(相模原市児童相談所相談班担当課長)
【はじめに】
・児童相談所として、外国人児童の相談はポツポツという感じ。自身は課長なので、相談員から相談を受けて、一緒に悩むという立場。
・正直に言って、「外国人児童の事例で、うまくいったなーという事例はあんまりない」。
・児童相談所が扱う児童の年齢は、17歳11ヶ月まで。
・市内の各区に「子ども家庭相談課」を設置しており、最初の相談はここが受ける。そこで対応できない事案が、児童相談所に回るという流れ。
【外国籍の子どもへの支援の実際】
・見立てをする際に発達検査をする。発達検査では、言語面・行動面における発達のバラつきを見る。
・その結果、発達障害が発見されると、親御さんに説明する。その際、親御さんの多くはショックを受ける。これは、日本人・外国人を問わない。
・台湾・韓国と、日本では「障害」に対する見方(文化)が違うように感じる。以前、障害があることがわかった時点で、「子どもは、一族で育てるので、外に出さないようにしたい」と話す台湾人の親に会ったことがある。
・日本では、地域社会で子どもを育てていくが、台湾・韓国は、「一族で育てていく文化があるのかなー」と思った。
・フィリピンの子ども(未就学)のケースでは、療育機関につないだ。そこでは、砂遊びや新聞紙をつかった遊びをするが、子どもはこれらの遊びに抵抗を示した。子どもの母親から「フィリピンでは、砂遊びは禁止されているので、そのせいかもしれない」と聴いた。
・児童虐待をめぐる感覚の違いがある。
・児童相談所では、しつけの是非については議論しない。その行為が、子どもへ負の影響を与えるか否かで判断する
・もし、児童虐待の通報があったら、児童相談所は48時間以内に保護しなければならない。
・「お仕置きは当たり前」という中国の親に対して、「たとえしつけであっても、日本では虐待行為は禁止されている」と説明するのは難しい。しかし、日本で生活するのなら、「お仕置きはアウト」だと伝えている。
・次は、南米の子どものケース。その子どもは、特別支援級に通っている。その子が、授業中に寝てしまうことが多く、教員が困っているとのこと。親の生活を調べてみると、親子とも就寝時間が遅いらしい。それが原因で居眠りをすると思われる。また、南米出身の親の中には、学校に通う習慣をもっていない人もいる。
・筋ジストロフィーという病気を持つ子どもがいた。母親に会うと、どうも同じ病気に見える。しかし、母親は病院に通院していない。筋ジストロフィーが、遺伝性の疾患という認識を、親がもっていないのだ。
・教育委員会に通訳をお願いしているが、問題は言葉の壁だけでなく、文化の違いもある。
・言葉の通訳だけではなく、養育観の違いを含めて理解しないと十分な支援はできない。
・相手に日本の社会システムを理解してもらうことも難しいが、私たち職員も、多国籍の人々に接することに慣れていない。

・・・・ここから質疑・・・・・
(三田村)
・児童と接するうちに「虐待」と思われたので、学校の先生に相談してみたが、先生が児童相談所に通報することを躊躇している。教員は、家庭の問題に介入しないという不文律のようなものがあるのか?
(小林)
・相模原市の小学校では、校内に虐待対応の教諭を配置しており、年3回、研修会を開いている。
・研修会の際、「虐待の疑いがある場合でも、通告してください」と伝えている。通告という言葉が強いので、連絡・相談というふうに説明している。
(加藤)
・虐待といっても、色々な程度がある。
(小林)
・どういうメカニズムの中で、虐待行為に及ぶのかを把握するようにしている。
・ネグレクトに対しては、どのような程度なのかを見極め、粘り強い支援が必要である。

●安永千里(相模原市青少年相談センター、スクール・ソーシャルワーカー)
【スクール・ソーシャルワーカーとは】
・相模原市は、スクール・ソーシャルワーカー(以下SSWrと表記)制度を導入して、2年目。市が、単独でSSWrを雇用しているところは少ない。
・現在、スクールカウンセラー(以下SCと表記)は、60名強いる。週1・2回派遣。相模原市では、SCを「青少年教育カウンセラー」と呼んでいる。
・SSWrを導入した背景に、近年、問題が複雑化しており、不登校件数がなかなか減らないという現実がある。そうした中、ソーシャルワーカーのように、「福祉的な見方」が出来る人がいないと問題解決につながらないということで、SSWrが導入された。
・現在、SSWrは3名配置。・文科省のガイドラインでは、SSWr の役割として、(1)問題を抱える児童の環境に働きかけ、(2)関係機関とのネットワーク構築、(3)学校内のチーム体制の構築、(4)教員への支援・研修機会の提供、があげられている。
・相模原市の場合は、上記のうち、問題を学校と一緒に考えることが期待されている。・学校長から相談を受けて、ソーシャルワークがスタートする。
・問題の入口は、不登校という現象。不登校の原因を探ると、色々な問題が見えてくる。・まずは先生に関わってもらうようにしている。
・児童と連絡がとれないというので、先生に聞いてみると、一度電話をかけただけで、家庭には行っていないというケースがあった。
・先生は、児童の家庭のことを分からないので、連絡をとることを恐れる。
・先生が、一人で問題を抱えているケースもある。
・学校がすべき事と、福祉行政が担う部分の役割が整理できないので、役割の整理をSSWrがする。役割の整理ができれば、先生自身が一歩踏み出せるようになる。
・ケースによっては、教員の努力だけでは立ち行かない場合もある。とはいえ、児童相談所にもっていくほどシリアスではないというケースがある。
・問題の蓋を開けてみると、色々な課題が見えてくる。SSWrの役割は、関係機関につなぐこと。つなぎ役、コーディネーターである。

【事例】
●子どもにも父親にも会えない事例
・幼少期に虐待を受けてトラウマあり。子どもの大人不信が見えてきた。・登校させるよりも、信頼できる大人がいることをわかってもらうことを目標にした。
・先生と子どもが共に励まし合いながら高校を受験し、成功した。
・SSWrは、先生たちが「へこたれない」ように支える。・先生自身に、気持の切り替え方を伝え、子どもの言葉の解釈について助言する。
●小学校3年生女子で不登校の事例
・クライエントの生活保護ケースワーカーと関係があったので、そこを突破口にした。
・家庭に入るまでに1年かかった。
・リサーチの結果、近所から嫌がらせを受けていたことがわかった。
・親も含め、その子の気持をはじめて聴くことができた。
・少しずつ学校に通えるようになってきた。しかし、完全解決には至っていない。
●外国人児童生徒の事例
・学校で落ち着きがない子どもへのアプローチについて、相談を受けたことがある。
・問題の原因が、知的障害なのか、発達障害なのか、言語なのか、文化習慣の違いなのか。どこから手をつけたらよいかわからないという内容だった。
・働きかけの「入口」がわからない、ということのようだ。
・母親と子ども双方が苦しんでいるが、共通言語がないために、問題解決が前に進まないという事例。これは現在進行形で、まだ答えが出ていない。親も子も圧倒的な孤独感をもっていると想像する。

・・・・ここから質疑・・・・・
(高橋清樹)
・今日は、スクール・ソーシャルワーカーの話を聞いて、改めてその重要性がわかった。
・●●さん、どうですか?
(県立横浜翠嵐高等学校定時制教諭)
・定時制高校だと、親子で会話ができないという話は聞かない。
・学校で落ち着きがない子は、高校にもいる。小学校・中学校で勉強についていけない疎外感をもったことはいるだろう。
・今年度1年生に入学した生徒の話。その子は、中学校時代、特別支援級に入っていた。子どもが強く普通級を希望したため、中学3年生になって、籍は特別支援級に置いたまま、普通級で授業を受けていたという。
・学習言語としての日本語も十分身につかないし、母語でも教科学習の知識が身につかない。こういう子が、発達障害をもっていると見做されてしまうこともありうる。
・高校入学後は、普通の生徒としてやっている。学力は低めだが、普通の子どもである。これから社会に出る時には、またひとつ壁があるように感じている。
(相模原市日本語巡回指導員)
・フィリピンの小学校2年生の子どものケース
・この子は、ひらがなが読めるが、口頭で説明しないと、行動が起こせない状況にある。
・なんとか支援したいが、どこに働きかけたらいいかわからず、困っている。というのは、日本語の巡回指導員には、問題を解決する権限がない。
・保護者と連絡ができないまま、すでに半年経っている。
・母親はほとんど日本語ができない。問題は解決されていない。
(安永)
・学校が困らないと、SSWrに連絡がこないので、こういうケースは難しい。
・自分は、こういう場合、SCと連携して、一歩踏み込むようにしている。
・正式には学校長からのルートしかないので、あとは草の根的にやっている。
・自分は、SCとよく話をしていて、学校の様子を聞くことがある。SCとのやりとりの中から課題を拾える可能性がある。
・学校SCとの接点はないのか。学校訪問の曜日が違うのですか?
(相模原市日本語巡回指導員)
・はい、SCとは全く接点がない。訪問の曜日が違うので、すれ違い。
(高橋清樹)
・全国でプレスクールの取組があるが、山野上さんどうか。
(山野上)
・山野上です。今は文科省の事業やっている。学校に通っていない子どものための教室へ委託料を出す仕事をしている。神奈川では、川崎、横浜、大和で実施。以前、神奈川県内で2年仕事をしたことがある。
・愛知のプレスクールに通う子どもは主にブラジル人。近年フィリピン人が急増している。
・プレスクールで大事にしていることは、母語と日本語の能力の見立てを重視。
・母親は(日本語ができないので)、子どもは日本語がきると思っている。一方、保育士は(ポルトガル語がわからないので)、その子はポルトガル語ができると思っている。しかし、検査してみると、両方ともあまりできない場合がある。両方の能力を見ないと、子どもの言語能力の全体像が見えない。例えば、筆箱という言葉。学校で使う基礎単語を両言語で使えるようにすること。などに取り組む。
・言語の問題もあるが、養育環境の問題もある。通常の日本の家庭では想像がつかないような養育環境にある子どもがいる。
・本当は環境因なんですが、外に見える現象としては、(発達)障害に見える場合がある。鉛筆が持てない。階段を登れないなど。ずっと家にこもっていた場合など。
・愛知では、ブラジル人の子ども対象の特殊な託児所がある。子どもの面倒を長時間みてくれる。保護者が育児放棄をしているわけではなく、家庭の経済環境が厳しいところから、結果として長時間託児を余儀なくされているということがある。
・そういう子どもが日本の小学校に入学すると、本当に大変。集団生活に慣れていないこともあるが、ポルトガル語も身についていないので、文字の入りも極端に遅い。
・現象だけ見ると発達障害に見えるが、障害ではない。それまで文字に全く触れていないので、文字に慣れるのに時間がかかる。世の中に文字があるというところから入る。
・ポルトガル語ができる子どもは、日本語の読み書きに慣れるのも早い。
・環境因でのつまずきを少しでもなくそうということから、小学校入学前から準備教育としてプレスクールを実施している。集団生活を経験し、少なくとも「トイレ」といえるようになる、など指導している。
・神奈川だと、同国人同士でやっている託児所は少ないと思う。
・愛知県では、保育士に、複数言語で育つ子どもの問題を知ってもらうための場をつくっている。・日本語のできないブラジル人の母親に、日本語で子どもに語りかけてくださいという指導を保育士がやるとよくない。母親の得意な言語で語りかけてください。ということが大切なことを保育士に伝えている。
・ただ、難しいのは、家ではタガログ語を聞きたくないという旦那さんがいたりするので、自分の得意言語を使いましょうという、単純な原則論だけではうまくいない。
・おかあさんが日本語が得意な場合は、日本語で語りかけることは悪くない。
・本当はポルトガル語で育てたかったが、周囲が日本語を使えというので、慣れない日本語で育児をした、と心情を吐露するブラジル人の母親もいる。
・特別支援学級に行けと言われて、学校をやめたという親もいる。
・学校と「かけはし教室」の間に立って調整することがある。学校としても迷っているケースもある。
(井草)
・多文化フリースクールに通う子どもは、30人。中国は7・8割。
・中国は二極化している。多文化スクールに来る子は、教育的に捨てられた子どもである。
・座っていられない子どもがいる。これは多動児ではなく、これまで学習の習慣がないというケース。
・学校の担任が、一人で問題を抱えてしまうことがある。それは、他の教員も忙しいもで、相談しにくい雰囲気がある。
・フリースクールは、とにかく相手の言いたいことを聞くというスタンス。日本語教育の専門家と中国語のできる人がいる。
・目の前に現れている現象をわかってあげることが大切。そうすると子どもが落ち着く。
・親御さんが来た時は、その気持を受けとめる。親御さんがイライラすると、子どももイライラするので。
(三田村)・SSWrが中教育事務所に1名配置されている。そこで、現場の先生に、SSWrの役割を尋ねてみた。すると、「SSWrは、教員の研修を担当し、指導する」という答えが返ってきた。
・相模原市と中教育事務所のSSWrでは、役割が違うのではないかと思うが、どうなのか?(安永)
・相模原市と県では、SSWrの役割が少し異なる可能性がある。県の SSWrの役割は、教員へのコンサルテーションが主な業務と聞いている。最近、県では、SSWrとは別に、スクール・ソーシャルワークサポーターという制度をつくった。もしかしたら、サポーターが相模原市のSSWrに近い役割かもしれない。断言はできないが…。
・先生が、自分の守備範囲がわからず、家庭の問題を全部抱え込んでしまうことを恐れている場合がある。学校教育ができることと、福祉や他の領域がすべきことの区分けができていないということ。それが整理できるとよい。
(小林)
・「連携」とか「つながる」とよく言うのですが、実際は、難しいですね。
・学校の先生が持つ文化に「違い」を感じることがある。福祉分野の人は、「わからないから、やる」のに対し、学校の先生は、「わからないから、やらない」という文化。福祉の専門家は、「わからないから、もっと知りたい」と考えるが、「わからないものには、手を出さない」方が、一般的な感覚。
・教育と福祉は、文化が違う。お互いに、立場が違うことを理解したところで、やりとりすることが大事。

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